管理会計の基礎ともいえる増減分析について解説します。

1.増減分析とは

増減分析とは財務諸表の①予算や過去②実績を比較しその増減について内容を確認する分析です。

予算と実績の比較

予算と実績を比較することで予算の未達、超過を振り返ることが出来ます。例えば、売上予算に対して実績が未達だった場合、どの案件やビジネスが未達となったのか、そういった項目をブレークダウンして確認していくことで傾向や要因を分析し、次のアクションへとつなげることが出来ます。

過去の数値と実績の比較

過去の数値と実績を比較することでビジネスの変化がどう数値に影響したのか理解することが出来ます。過去の数値と比較し、主要な増減として現れる項目は会社の取引の変化を示しています。例えば売上の増加を外注でカバーするという方針を掲げたとして外注費が売上と共に前期比で増加している場合にビジネスの変化と数値がリンクします。

逆にビジネスに変化が起きていないはずなのに説明のつかない数値の増減がある場合は不正や誤謬の可能性を示唆しています。

2.増減分析の重要性

増減分析を実施することで会社の活動と数値の動きが整合しない箇所を洗い出し、異常値を識別することができ、不正や誤謬の発見に役立てる事が出来ます。また、増減内容を把握することでビジネスの理解にも役に立つことが出来ます。

会計監査の現場では会社の取引の理解や財務諸表上のリスクや異常値を識別するため主要な手続きとして実施されています。

3.増減分析の進め方

増減分析は以下の手順で実施します。

  1. 予算や過去の数値など比較したい値と実績値を並べて増減金額と増減率を計算する
  2. 主要な増減(スコープ)に該当する増減について内容を把握する
  3. 増減内容についてビジネスと照らして妥当であるか検討する

1.予算や過去の数値など比較したい値と実績値を並べ増減金額と増減率を計算する

予算や過去の数値と実績を比較することで増減金額と増減率を計算します。すべての勘定科目に対して分析を実施すると膨大な手間がかかるため重要性の考えを適用して主要な増減(スコープ)を定めます。スコープの決め方は金額的重要性と質的重要性を考慮します。金額的重要性はあくまでも目安ですが、総資産、売上、利益の〇%というように決めるのが一般的です。質的重要性は重視しているKPIに関連する項目や不正の可能性がある項目、計算が複雑で誤りやすい項目等を考慮し決定します。

2.主要な増減(スコープ)に該当する増減について内容を把握する

分析対象の項目が決まったら、増減内容を把握します。増減内容の把握は仕訳データから抽出します。仕訳データを取引先別、プロジェクト別、補助科目別、摘要別といった区切りで集計し、比較することで増減の要因となった項目を把握します。

3.増減内容についてビジネスと照らして妥当であるか検討する

増減内容を把握したら、ビジネスと照らして妥当であるか検討します。ビジネスと照らして妥当であるかの判断は、事業計画における会社の方針と矛盾していないか、相関する科目(売上と売掛金、売上原価と買掛金等)のベクトルが比例関係にあるかといった要因を考慮します。また、仕訳から読み取れない場合は主管部門への問い合わせを実施して内容を確認します。

4.増減分析のポイント

増減分析をするにあたってよくやりがちなことが主要な増減についてただ内容を記載するだけのケースです。

【NGケース】増減を構成する項目を洗い出しただけででなぜ増減したかの背景が不明

これでは数値の動きとビジネスの流れがリンクせず、なぜ増えているのかという背景が不明です。増減分析の進め方の「内容を把握する」で止まっている状態です。増減分析のポイントを下記に示します。

  • 増減の背景を理解する
  • 相関する他の項目との整合性を確認する
  • 増減の内容に関する妥当性の判断の根拠と結論を分析コメントとする

上記のポイントを考慮して売掛金の増減コメント

【OKケース】増減項目を洗い出して増減の背景についても言及している

5.まとめ

増減分析の概要やポイントについてまとめさせていただきました。これを参考に増減分析を実施し、財務諸表のレビューや業績報告にお役立てください。