RPAは入力作業やデータ加工等のコンピューター上のプロセスを自動化する仕組みです。RPAツールで作られた自動化するプログラムをロボットと呼んでいます。

アプリケーションと違い、プログラミングが不要で操作手順を記録したり、マウス操作だけで自動化の仕組みを作ることができるため専門的なIT知識がなくても使えるメリットがあります。そのため、業務の現場レベルでロボットを一方でRPAツールを導入することで野良ロボットという問題も発生します。この問題と対策について解説します。

野良ロボット問題とは

野良ロボット問題とはRPAツールで作られたロボットが誰にも管理されずに放置またはブラックボックス化している状態のことです。RPAは業務の現場レベルで自由に開発が出来る一方で誰が作ったかわからず、退職や異動で管理不能になるロボットが発生してしまいます。これを放置すると頼んでいない操作をしたり誤った操作をしてしまうリスクがあります。

そのため野良ロボットが発生しないように管理体制を整える必要があります。

野良ロボット問題の対策

野良ロボット問題の対策として以下の方法が考えられます。

組織内での適切なRPAの導入と管理

組織内での管理体制を決めたうえでRPAツールを導入することが望まれます。管理体制は会社の組織体制にもよりますが以下の役割を担う部門を決める必要があります。

部門役割ライセンス
管理部門RPAツールを総括的に管理する部門です。ライセンスの管理や開発されたロボットについて把握、管理します。社内システム部門や管理部門が主管することが想定されます。管理者ライセンス
利用部門ロボットを利用する部門です。ロボットを実行するためのライセンスの付与を受けて日々の業務でロボットを活用します。ユーザーライセンス
開発部門ロボットを開発する部門です。開発は外部へ委託する場合は外注先企業になります。機動的な開発を行う場合は開発部門=利用部門となることがあります。ユーザーライセンス
監視部門ロボットの操作ログを監視し、不正な操作や予期しない動作をしていないか監視します。管理部門が実施する場合やロボット数が多い場合は利用部門が自部門の利用状況を確認するために監視することが考えられます。管理者ライセンス

台帳での管理

開発したRPAツールを一元管理できる台帳を作ります。台帳は管理部門を定めてその部門が管理します。その際、審査制や承認制にするかは管理部門の負荷を考慮して導入します。

台帳には以下の情報を掲載すると望ましいです。

  • ロボットの名称またはID
  • 利用部門
  • 開発部門
  • 利用目的
  • 仕様(どのような動作をするか)

クラウド版のRPAの利用

RPAツールには各人のコンピューター(デスクトップ版)で動くRPAとサーバー(クラウド版)で動くRPAがあります。クラウド版のRPAを利用するとライセンスや開発されたロボットがクラウドに集約されるため管理がしやすくなります。

ただし、各人のコンピューターにインストールされているソフトウエアをRPAで操作したい場合はデスクトップ版のRPAでないと操作できない場合も有るため、状況に応じた使い分けが必要です。

RPAシステムの監視やログ管理

RPAツールには実行ログを監視できる機能がついています。実行ログを確認することで不正な操作や意図しない操作が行われていないか確認する必要があります。意図しない操作が行われている場合、修正を行うなどのアクションにつなげる必要があります。

まとめ

野良ロボット問題と対策についてまとめさせていただきました。RPAは少ない専門知識で機動的かつローコストにDXを実現できる一方で適切な管理体制を構築していないと野良ロボット問題を引き起こします。

RPAの最大のメリットは課題を感じている利用部門が開発を行うことでニーズにマッチしたDXが実現できるという点です。通常のシステム開発の場合、①利用部門からニーズを吸い上げ ⇒ ②開発部門に伝えて設計、開発 ⇒ ③利用部門での確認 といった複数の部門を巻き込んでの開発となるため非常に時間がかかります。

弊社は決算、会計監査の経験を有するメンバーがノーコード・RPAツールの活用による低コストによるDX化された決算体制の構築に特化したサービスを提供しています。利用部門のニーズと開発ノウハウを合わせることでRPAのメリットを最大限活かせるサービスとなっています。

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